土地の所有状況が、工場の社有地に加え、同企業に係わる複数個人所有があり、こうした土地条件をクリアーする開発が求められていた。
立地条件を活かしつつ、将来的な社会経済条件の変化にも上手く適合しうる開発が求めらていた。
なぎさライフサイトプロジェクトは、実質的に概ね以下の4つで構成されている。
T: 複数の地権者に分割所有されている個々の土地を、旧工場の事業会社である鰹シ本精練所がまとめて借地する。
U: 清水建設鰍ヘ総合的なプロデューサーとして全体事業(開発、テナントリーシング、条件調整)を企画・計画し、整備、開業後はテナント会が自主的に管理運営を行う。
V: 鰹シ本精練所は、誘致テナント企業のニーズに応じて土地を分割して借地契約をする。
W: 個々のテナント企業は、事業用借地にもとづいて各々の店舗施設を整備し管理運営を行う。
大規模地権者が実質的なデベロッパー的機能を担い、出口事業(テナント店舗の誘致、維持運営)を見定めつつ、従前の土地の所有の維持と出口事業のためのフレキシビリティの両立を図るため、事業用借地を2段階で活用するところに特徴がある。
 
●地主:鰹シ本精練所代表取締役社長 加藤氏
 ネクタイやスカーフ、着物などに使う生糸・ 絹紡糸製造などを手掛けて、約一世紀に渡り当地にて操業を続けて参りましたが、平成10年操業を停止し、跡地にてこの度複合商業施設を開業するに至りました。本計画を企画提案し実現して頂いた清水建設(株)殿には心より感謝いたします。松本市の玄関口に位置する当敷地は、国道19号と国道158号の交差点にあり、周辺住民や各町会、中心市街地の商店街等から注目をされており、施設構成については大変苦労された様です。単なる物販店舗の集合ではなく、スポーツや銭湯、アミューズメントや各種飲食店等の複合により、地域活性化に寄与する施設となりました。
●なぎさライフサイトテナント会会長 潟Vナノポリ代表取締役 窪田氏
 二つの国道の交差点に位置し、松本市の玄関口として知名度も高い当該敷地に出店することにより、周辺地域の活性化、エリアとしての「松本」の商圏の拡大に寄与することを、基本理念として参りました。当初、この規模で敷地を分割し定期借地により出店するというスキームについては、他の事例も無く若干の不安要素はありました。清水建設(株)殿の総合プロデュースにより、複雑な土地区画ではありましたが、テナントと地主とが相互に高効率な条件で借地契約を締結することができました。また、開業後の施設運営につきましては、地主・各店舗・テナント会事務局によるコミュニティー型式による自主運営を図り、ローコストオペレーションを実現しました。今後とも、地域に愛される施設となるよう努めてまいります。
●総合設計:滑ン設計代表取締役 岸氏
 本プロジェクトの土地活用の形態は、8棟の商業店舗の建物設置者と土地所有者との個々の事業用定期借地権を集合したものです。地主である鰹シ本精練所様より、総合的プロデュース業務の委託を受けた清水建設鞄aにより具現化されました。各店舗棟は出店各社の負担により各自建設を行い、共用で利用する駐車場や外構等の建設コストは各店舗の面積等を考慮した按分率に応じて各社が負担しました。開業後も共同広告、安全警備、清掃、夜間照明等の共益部分については、各社が按分負担する独自の共同体としてのコミュニティーを形成しています。この施設にはディベロッパーは不在ですが、出店者にとっては出店コストを抑えることを可能とし、土地オーナーにとっても比較的高収益で高効率な土地活用事業として成立させることが出来ました。このことは施設設計に携わる私共にとりましては新しい試みでもありました。
▲なぎさライフサイト全景
▲なぎさライフサイト入場ゲート
▲なぎさライフサイトの店舗
 
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