財団法人都市みらい推進機構
“史跡や緑を活かした快適なまちを目指す”共働のまちづくり 愛知県豊田市
これまでのまちづくりの経緯

地区の名称

桜町(挙母神社の門前町)

区域

愛知県豊田市桜町1丁目〜2丁目

地区の面積

概ね2.2ha


  愛知県豊田市(現在人口約415千人)は、今や世界のトップ企業に成長したトヨタ自動車の発祥地で愛知県の東部に位置しています。江戸時代には挙母藩の城下町として栄え、昭和34年に市名が豊田市に変わるまでは「挙母」という地名で呼ばれていました。
愛知県地図と豊田市の位置
 こうした歴史の中で、昭和20年代頃までの中心市街地は、現在の名鉄豊田市駅から南東へ500mほど離れた挙母神社周辺にあり、門前町である桜町には、多くの呉服店や問屋が軒を連ねて、豊田市の商業発祥の地として、多くの賑わいをみせていました。
 しかし、駅前開発が進むにつれて中心市街地は駅周辺に移り、また郊外での消費が増えたこと等により、通りの活気は次第に失われつつありました。
 危機感を抱いた桜町の商店街では、毎月八日の八日市(昭和29年〜)や、豊田市初の全天候型アーケード(昭和35年)、道路拡幅と電線類地中化(昭和60年)などの改善策を行政とともにこれまで積極的に進めてきました。しかし有効的な改善策とはならなかったのが実情です。
 そのような中で豊田市では「ユニバーサルデザインによる歩行者空間の再構築」、「交通結節機能の強化」、「水と緑を活かした快適な回遊空間づくり」、「共働によるにぎわい再生」を目指した都市再生整備計画(豊田市駅周辺地区)を平成16年に策定しました。本計画は桜町地区を含めた豊田市駅周辺地区211haを対象としており、まちづくり交付金事業を活用し中心市街地の活性化を目指した計画的なまちづくりを平成16年度より進めることとなりました。
(都市再生整備計画の整備方針図)
 
新たなまちづくりに向けた共働による空間整備
 豊田市駅周辺のまちづくりを進めるなか、桜町の商店街振興組合は新たなまちづくりに向けて、平成16年に商店街の活性化について改めて話し合いを重ねました。その結果、次の3つの柱を掲げた活性化計画を策定し、街並みづくりへの支援を市に投げかけました。

@ 店舗経営・営業力の強化
A 歴史・伝統を活かしたにぎわいづくり
B 「見て美しい、歩いて楽しい」街並みづくり

 そして平成17年4月に商店街以外の住民も含めた「桜町まちづくり協議会(桜町ほうだら会)」が発足し、市、商工会議所、豊田まちづくり株式会社、専門コンサルタントと共働、連携しながら具体的な街並みづくり(道路整備と商店街のファサード整備)の方向性を検討していくことになりました。
 道路整備については平成17年4月より協議会を始め、約1年間の時間を費やし、道路の形態、舗装の素材・色、街路灯のデザイン・配置、街路樹の樹種・配置等、道路整備のあらゆる事項にわたって、ワークショップ形式でまちづくり協議会が行われてきました。検討途中では、通りの真ん中にシンボルとなる木を植えるという案が出され、賛否両論で議論が白熱し膨大な時間を要したこともありましたが、最終的には、近隣住民にとって不便な点が多いことを考慮して、この案は撤回されました。しかし、これをきっかけに住民のまちづくりに対する意識が高まり、より多くの人が話し合いに参加するようになったという点では効果がありました。
 当地区は、市街地でありながら蔵や桜城址等の歴史的資産が残る地域であり、かつ挙母神社の参道として現代の暮らしを支える道でもあります。「現代の参道」を整備テーマに、歩車道を一体化した「広がりのある 広場のような道」を目指して、ユニバーサルデザインに配慮した段差のない、歩車道境界を感じさせない道としました。
整備前(桜町本通り)
整備後(歩車道の一体化)
 また、参道として品格のある石畳舗装を採用し、通り全体へ視覚的な広がりを与える、「斜め敷き」によるリズムを持った配置として、「広場のような道」を具現化しています。街路樹は株立ちの寄せ植えによって柔らかく演出し、庭のような環境とすることによって、地域の人々に愛される植栽となり、地元住民自らが積極的に水遣りや落葉拾い等の維持管理をしているのが特徴です。
整備後(石畳舗装と寄せ植え)
◆『豊田市桜町地区』は、平成19年度都市景観大賞(主催:「都市景観の日」実行委員会)「美しいまちなみ賞」美しいまちなみ優秀賞を受賞しました。
 
共働によるまちづくりのしくみと整備後の取組み
 「共働」とは、協力・連携する関係のみならず共に働く、共に行動する関係づくりをめざすものです。共働は、立場の異なる主体(市民・自治区・NPO・ボランティア団体・企業・大学、市議会、市)が互いに協力・連携する関係のみならず、各々が、共通する目的に対してそれぞれの判断に基づいてそれぞれ活動することを含めて、共に働く、共に行動する「共働」の関係づくりをめざすものです。
  次のしくみのもと、協議会でのワークショップを10回以上も開催する一方で「桜町ほうだら会News」を自分たちで作成して地域住民への情報提供を行うなど、地域住民の生活の舞台となる空間整備を共働によって行いました。

 
桜町ほうだら会を中心としたまちづくり活動
 道路整備に住民の意見を反映したことにより、まちに対して愛着が現れ、単に道路整備のハード的な整備に終わらず、住民の自主的な提案や協定づくり等を検討していく機運も醸成され、「みちづくり」から「まちづくり」へと展開しつつあります。

 具体的には、プランターの花の植え替えをまちづくり協議会で行い、季節により変化する花の修景により、まちに彩りを与えています。
 
 一方、挙母神社の境内で毎月八日に開催される八日市にあわせた催しで、八日朝市を桜町内で開催し、近郊農家による野菜や漬物、五平餅の販売など、地産地消を目的とした取組みを行っています。また、店の軒先に設けた休憩場所で、お茶菓子などのおもてなしも行っています。
 
 
 
 住民の危機感を契機とした商店街のまちづくりは試行錯誤を繰り返してきました。しかし、道路などのハード整備を住民・商業者・行政などの関係する主体がみんなで考えるところから始めたまちづくりは、徐々に地域住民へと浸透し、今では地元まちづくり協議会の自主的なソフト事業を展開するまでに育っています。それにより、八日市の時は道路整備前に比べ、約1割歩行者数が増える等、かつての桜町の賑わいが戻りつつあります。
 
まちづくり関係者の声
主体的にまちづくりに取り組む
「桜町ほうだら会」会長 伊藤 栄二氏のコメント
「道路整備やファサード整備をするとお客さんが来るの?儲かるようになるの?」
 初めて耳にする言葉に誰もが疑問や不安が多くありました。まずは商店街組合員に住民の方を交えて講演会や会合を数多く開き、意識改革からスタートしました。そして、単なるハード面の整備だけで終わるのではないことを確認しました。
 現在に至るまでには、行政、商工会議所、豊田まちづくり会社からの支援やノウハウの提供がありました。それぞれの立場で最大限の力を発揮し、「共働」ということばに相応しい見事な連携がなされた事業であったと感じています。 私たちは地域の環境維持や繁栄のためにこれからも活動を続けていきたいと思います。
ほうだら会 伊藤会長
共働によるまちづくりを支える
 豊田市都市整備部都市整備課長 加藤 国治氏のコメント
共働によるまちづくりの経験は、住民・行政とも初体験であり、試行錯誤の中進めてまいりました。道路整備事業のありとあらゆる内容を住民と話し合い、考え、苦労した結果、住民・行政とも満足のいく道路を作ることができました。
 協議会をすすめる上で行政主体とならないこと、住民が望むことをできるだけ引き出すことができるように、ワークショップ形式などを取り入れ、協議会の進め方を工夫しました。また、協議会の行う場所を商店街近くの区民会館や商店街内の店舗を借りて、アットホームな雰囲気の中、自由に意見を交わせるように工夫しました。疑問が生じたときには、すぐ現場に行きみんなで議論しました。
 道路の完成が完了ではなく、これがきっかけとなり今後のまちづくりのさらなる発展につながるスタートになるように望むところです。
事例等に関する問い合わせ先
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