高田中心市街地は、江戸時代に高田城下町が形成されて以来、上越地域の商業の中心地としての役割を果たしてきましたが、モータリゼーションの進展や人口減少・少子高齢化のほか、商業の低迷などを背景とした中心市街地の空洞化が進行しており、直江津中心市街地と合わせ活性化が当市の重要政策課題の一つとなっています。
 一方、同地区は、江戸時代からの都市骨格を現在も継承している貴重な歴史的市街地であり、そこには、高田城跡を中心として、日本一の総延長を誇る雁木通り、魅力的な吹抜け空間をもつ町家、66か寺が建ち並ぶ寺町寺院群、明治以降の近代化遺構の洋風建築など、数多くの歴史的建造物が現存しています。
 上越市では、このような歴史的建造物を高田のまちの新たな魅力として光を当て、まちづくりに活用していきたいと考えており、その取り組みの特色は次の3点です。

1.専門セクションの設置
2.高田中心市街地の再生との一体的取り組み
3.市民と行政との連携・協働によるまちづくり
 歴史的建造物を活かしたまちづくりは、歴史・文化・都市計画・産業振興など、多様な分野に及ぶ課題であり、上越市でもこれまで市民や行政がそれぞれの分野で多様な取り組みを展開してきましたが、江戸時代築の町家の保存などを契機として、それらを活かしたまちづくりを総合的に推進するため、上越市では平成16年4月に専門セクション「歴史・景観まちづくり推進室」を設置しました。
  現在、行政自らが歴史的建造物の「所有者」として保存・活用を実践すると共に、様々な観点での市民・市民団体への支援や、多様な担い手のコーディネイト、ネットワークの形成にも取り組んでいます。

歴史・景観まちづくり推進室の主な取り組み
雁木整備事業補助金の交付
雁木の保存と活用に関する基本方針に基づき、「雁木の保存活用地域」における、市民の雁木の新築・修繕・通路の段差解消に対して補助金を交付。
「雁木の保存活用地域」では、雁木敷地の固定資産税の一部課税免除も実施。

歴史資源情報マップ「高田まちなみ歴史散策」の発行(右写真)

市所有の町家見学会開催

地域資源としての歴史的建造物の情報発信のため、市所有の町家 (旧今井染物屋、旧金津憲太郎桶店)を暫定活用し、町家見学会を開催。子どもたちの総合学習でも活用されているほか、高田地区の四季の行事と連動したまちなか回遊観光の仕組みづくりも推進中。
平成18年4月の高田城百万人観桜会からは、近隣の町家所有者との協働イベント「越後高田町家三昧」を開催。

市所有の町家の保存・活用及び拠点施設としての整備

3棟の町家(旧今井染物屋、旧金津憲太郎桶店、旧小妻屋)を地域住民のまちづくり活動や「まちなか回遊観光」の拠点施設として活用するための整備を推進中。
平成17年度は、旧小妻屋を「町家再生型多機能拠点施設」として整備するため、市内の建築事務所による設計コンペを実施。

歴史資源現況調査の実施

大学・建築士・市民ボランティアとの連携により高田市街地の雁木や町家の現況調査を実施。
 上越市では、歴史的建造物の保存・再生・活用を通じて、高田中心市街地の活性化を図るための戦略について、専門家や市民による検討委員会から「歴史的建造物を活かした高田市街地活性化戦略」の提言を受け、現在、そこで示す3つの方向性から、6つの重点推進プロジェクトを推進しています。
 また、平成18年度からは、同戦略とこれまでの各種計画を踏まえ、”まちなか回遊観光”実現を通じた都市再生を総合的に推進するため、都市再生整備計画「高田雁木通り地区」に基づき、まちづくり交付金を活用して事業を推進していくことにしています。
■策定経過
○検討体制:

○検討期間:
市民・専門家・まちづくり団体から構成される「歴史的建造物を活かした高田市街地活性化戦略検討委員会」にて策定。
平成16年11月〜平成17年3月
■3つの取組みの方向性と6つの重点推進プロジェクト


■計画期間
平成18年度〜22年度
■計画の目標
■整備方針と主な事業内容
 高田地区では現在、行政の取り組みと呼応し、市民の間でも既存のまちづくり協議会による新たな事業展開が進んだり、新たな市民グループが生まれるなど、市民と行政との協働によるまちづくりの機運が着実に高まってきています。
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