沖縄市は文化のかおり高い美しいまち、平和で豊かなまち、調和のとれた産業を発展させるまちを推進する「国際文化観光都市」の実現をめざし、沖縄の戦後文化をリードするまちとして、多彩な芸術・芸能文化等を創造してきた。本市の地域性は、独自の伝統文化と戦後流入したアメリカ文化との融合により醸成されたチャンプルー文化との言われるコザ文化が育まれてきた。
 一方、本市の経済は、脆弱な産業基盤に加え、長引く不況や基地経済の影響を受け、非常に厳しい情勢が続いている。
 そのような中、本市は中心市街地の活性化を図るため、平成11年度に『中の町ミュージックタウン整備事業』をスタートさせた。これは音楽を核とした新たな産業の創出や中心市街地の活性化を図る重点プロジェクトで、「音楽市場」(仮称)等の核施設が着工される。これは本市の地域資源である「音楽・芸能文化」をテーマにしたまちづくり事業で、新たに音楽産業を創出するための人材育成事業を推進し、雇用創出、雇用機会の拡大を図るとともに、高失業率で推移する本市の雇用情勢を改善しようとするものである。
 いよいよ始動した『中の町A地区第一種市街地再開発事業』、中の町ミュージックタウン整備事業」。経済活性化を目指し、本市が新たに取り組む音楽産業・音楽によるまちづくり。観光関連産業等の集積も視野に入れながら、平成19年度のオープンを目指し、沖縄市の新たなまちづくりが今、スタートを切った。
 沖縄市に育まれた音楽文化は、今や日本国内を席巻している。島唄ニューウェーブの先頭を走る喜納昌吉、照屋林賢、知名定男をはじめフォーク界では佐渡山豊、知念良吉、また、オキナワンロックの代名詞で一時代を築いた「紫」や「コンディショングリーン」なども沖縄市の出身である。最近では、若者音楽を代表するオレンジレンジがコザを基軸とした活動をしていることも地域や後輩たちに希望を与えている。
  このような音楽の人的資源は、この地域が音楽活動に適した環境にあること示し、今後の人材育成や雇用の創出なども視野に入れた音楽の産業化に大いに寄与するものと考えている。

様々な音楽の人材
 本市は基地の街といわれ、県内の他の市町村とも文化風土を異にしている。私たちは、この特異な文化を地域資源として今後の地域発展の起爆剤として活用して行きたいと考えている。特に音楽文化については、これまでの人的資源に加え新たな人材が育ってきていることは、心強いものがあり官民上げて支援体制を強化していく必要がある。
  音楽によるまちづくりを広く市民に広報し、音楽文化が地域の活性化に必要不可欠であるという認識を共有するためにもミュージックタウン音市場の建設は時機を得たものといえ、地域振興の拠点施設として利用されることを期待している。

広がる音楽文化
 本市では市民と協働によるまちづくりも推進している。今回の中の町再開発事業へのミュージックタウン音市場の併設は、その大きな共通項としてハード整備とソフト事業をうまくリンクさせ、地域との連携を図りながら活性化を推進するモデル事業になることを期待している。
  バブルの崩壊後の回復の遅れや、国の三位一体改革等の影響を受けて厳しい状況にある沖縄の経済にあって、沖縄市の音楽によるまちづくりは市民が大きな期待を寄せているプロジェクトであり、行政と市民、地域が協働して取り組むことで大きな成果が期待できるものと考えている。

市民が参画するイベントの様子
 
 本市のミュージックタウン構想の核となる『中の町A地区第一種市街地再開発事業』、『ミュージックタウン音市場整備事業』は市民と行政の協働によってハード・ソフト一体で進め、情報発信を進めている。
ミュージックタウン構想の推進体制図
 戦後、アメリカ軍の嘉手納基地建設に伴い、基地の門前町的に町並みが形成された。アメリカ人相手のバーやレストラン、パウンショップ(質屋)が軒を並べるゲート通りやセンター通り(現:中央パークアベニュー)に先行して張り付いた社会インフラは、時代とともに老朽化が進み、都市計画の見地からも区画整理や再開発事業が必要な地域になってきた。中の町地区に音楽文化を地域資源とするミュージックタウン音市場を核施設とする市街地再開発事業である。

施設の整備イメージ
 ミュージックタウン音市場は、本市が進めている音楽によるまちづくりを具体的に展開する拠点施設として、中の町再開発事業に併設して建設されるものである。アメリカ文化との融合によるコザ文化の中でも音楽文化に注目し、地域資源の一つとして再認識するとともに、これを核として振興することで地域の活性化を図ろうとするための事業である。

音市場の施設イメージ
音楽を愛し、自分たちの場所づくりを!
喜屋武 尚さん(ライブハウス・モッズ:マスター)
 普段何気なく歩く町並みの中のどこからでも音楽が自然とあふれてくる、そんな街が理想です。音楽で街に人を集めるのであれば、何よりも地元の人が「音楽の街・コザ」を愛してくれることが始めの一歩だと思います。街全体で音楽を愛し支え、栄えていくことを願ってやみません。
市民一人一人が地域の特異性をアピールする
崎浜秀嗣さん(沖縄市観光協会事務局長)
 「うっそ〜!アメリカみたい」「ほんとうに、日本なの」とコザゲート通りライブハウスはしごツアー参加の観光客の第一声だ。「音市場」は沖縄市の浮沈をかけた事業だと思っている。これを成功させるには、市民一人一人が地域の特性を知り、沖縄市を売り出すセールスマン的な役割を担うことが大切だと思う。
 
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