都市地下空間活用研究会

会長挨拶

会長 岸井 隆幸

会長 岸井 隆幸

 わが国では少子高齢が大きな課題となっていますが、世界に目を向ければ地球上に暮らす人々、特に都市部に暮らす人々の数は爆発的に伸びています。その結果、多くの都市では住宅市街地が延々と広がり、都心部では限られた空を奪い合うように高層ビルが立ち並んでいます。
 我々は限られた空間「地球」で様々な活動を賢く営まなければなりません。資源や空間を特性に応じてより有効に使いこなす、こうした姿勢が必要です。その意味では「都市の地下空間」は、まだ十分に活用されていない次の可能性を秘めたフロンティアだといえるでしょう。地下空間は概ね10~17度とほぼ一定の温度・環境を保っており、地震にも強いという特徴があります。こうした地下空間の特性を生かして賢くその活用を図ることで、地上部をより豊かなものとすることができ、様々な都市問題に解決の道が開かれることになるでしょう。
 我が国の地下空間関連技術は、世界的に見ても高い水準にあり、これまでも我々に夢や希望をもたらしてきました。エネルギー・供給処理施設・交通などといった都市基盤はもちろん、1960~1970年代の高度成長期には各地で様々な地下街が構築されました。そして今、建設から50年、60年たって、今一度、都市基盤施設の更新も含めた「都市を再生させる取り組み」が求められています。この時期にこそ、新しいフロンティア「地下空間」をしっかりと見据えて次の世界を切り開いて行く、この姿勢が非常に重要であると思います。
 都市地下空間活用研究会は、分野を超えた会員の自主的な運営によって、地下空間にかかわる様々な調査研究活動を推進することを基本方針としています。「都市の地下空間」という新しいフロンティアを切り開く挑戦に少しでも貢献できるようこれからも研鑽を重ねて参りたいと思います。